オンライン学習でつまずいた時、保護者ができること 具体的な声かけとサポート方法
オンライン学習で子どもがつまずくのは珍しいことではありません
お子様のオンライン学習を進める中で、「なんだか進みが遅い」「イライラしているみたい」「このままで大丈夫かしら」と、保護者の方が不安を感じる場面があるかもしれません。特に、オンライン学習に慣れていないうちは、予期せぬつまずきに直面することもあるかと思います。
「うちの子だけではないか」「どう対応すれば良いのか分からない」と悩んでいらっしゃる方もいるかもしれません。地域に住んでいると、周りでオンライン学習をしている家庭が少なく、情報交換が難しいと感じることもあるのではないでしょうか。
オンライン学習でのつまずきは、多くの子どもたちが経験することです。焦る必要はありません。大切なのは、つまずいた時にどのように子どもに関わるか、どのようなサポートができるかを知っておくことです。
なぜ子どもはオンライン学習でつまずくことがあるのでしょうか
オンライン学習には、対面の学習とは異なる難しさがあります。子どもがつまずく原因は様々ですが、いくつか例を挙げてみましょう。
- 自己管理の難しさ: 決まった時間に集まる対面授業と違い、自分で学習時間を管理する必要がある場合、集中力が続かなかったり、つい他のことに気が散ってしまったりすることがあります。
- 一方的な情報伝達: 動画を見るだけの教材などでは、質問がすぐにできなかったり、内容を理解できていないまま進んでしまったりすることがあります。
- 操作や技術的な問題: パソコンやタブレットの操作、インターネット接続など、学習内容以前のところで手間取ってしまうこともあります。
- 学習内容の難しさ: そもそも学習内容が難しく、理解に時間がかかっている場合です。対面なら先生にすぐ質問できますが、オンラインではそのハードルが高いと感じる子どももいます。
- 孤独感: 一人で画面に向かう時間が長いため、友達と一緒に学ぶ刺激や、先生との気軽なやり取りがなく、孤独を感じてモチベーションが下がることがあります。
これらの原因が複合的に絡み合っていることも少なくありません。
子どもの「つまずき」のサインに気づく
子どもがオンライン学習でつまずいている時は、いつもと違う様子が見られることがあります。
- 学習を始めるまでに時間がかかる、嫌がる
- 学習中にソワソワしたり、すぐに別のことをしたがる
- 「分からない」「面白くない」といった否定的な言葉が増える
- 問題を解くスピードが極端に遅くなる、あるいは雑になる
- エラー表示や操作方法でイライラしている
- 保護者からの声かけに反発する
これらのサインに気づいたら、「もしかしたら、どこかで困っているのかもしれない」と少し立ち止まって、子どもの様子を見てあげることが大切です。
保護者ができる具体的な関わり方・声かけのヒント
子どもがつまずいているサインが見られたら、まず保護者の方が落ち着いて対応することが重要です。責めたり、頭ごなしに否定したりするのではなく、寄り添う姿勢で接しましょう。
1. まずは子どもの話を聞く姿勢を持つ
「どうしたの?」「何か困っていることある?」など、子どもが話しやすいように優しく声をかけてみましょう。すぐに原因が分からなくても、「そうか、分からないんだね」「やる気が出ない時もあるよね」と、まずは子どもの気持ちを受け止める言葉を伝えてください。子どもは「分かってもらえた」と感じるだけで安心できることがあります。
2. 具体的に何につまずいているのかを一緒に確認する
子どもが話してくれたら、「どこで」「何が」分からないのか、一緒に画面を見ながら確認してみましょう。 * 操作方法が分からないのか * 説明の内容が理解できないのか * 問題の意味が分からないのか * 量が多すぎると感じているのか * 集中できない環境なのか
原因が分かれば、次の具体的な対策を考えやすくなります。
3. 解決策を一緒に考える、あるいはヒントを提供する
原因が特定できたら、子どもと一緒にどうすれば解決できるかを考えてみましょう。
- ペースの調整: 長時間座っているのが辛そうなら、「まずはこの問題を3問だけやってみようか」「タイマーで15分だけ集中してみよう」など、短時間で区切ることを提案します。
- ツールの活用: 分からない言葉が出てきたら一緒に辞書やインターネットで調べてみる、動画が理解できないなら一時停止や巻き戻しをしてみる、大切な部分をノートに書き出してみるなど、学習ツールや工夫の使い方をアドバイスします。
- サービスへの相談: 利用しているオンライン学習サービスに質問機能やチャットサポートがあるか確認し、「ここに質問してみようか」「先生に聞いてみようか」と促してみます。保護者の方が代行して問い合わせることも検討できます。
- 保護者自身が少し調べてみる: 保護者の方が、つまずいている箇所の関連情報を少しだけ調べて、「もしかしたら、これはこういうことかな?」とヒントを出してあげるのも良いでしょう。ただし、答えを全て教えてしまうのではなく、あくまで子ども自身が理解する手助けをする程度に留めるのがポイントです。
4. スモールステップを提案し、できたことを具体的に褒める
大きな壁にぶつかっていると感じている子どもには、「まずはここだけ理解しよう」「今日はこの1ページだけ終えよう」など、達成しやすい小さな目標を設定し直すことを提案します。
そして、目標を達成できたら、たとえ小さなことでも具体的に褒めてあげてください。「この問題のここがよく考えられているね」「最後まで諦めずに画面に向かっていたね」のように、結果だけでなく、取り組む姿勢や頑張った過程を評価することが、子どもの自信につながります。
5. 適度に休憩や気分転換を取り入れる
オンライン学習に限らず、長時間集中し続けるのは大人でも難しいものです。学習の合間に短い休憩を入れたり、体を動かしたり、好きなことをする時間を作ったりすることも大切です。「ちょっと休憩して、気分転換しようか」と促し、オンとオフの切り替えをサポートしてあげてください。
6. 他の学習方法との組み合わせも考える
オンライン学習がどうしても合わない、あるいは特定の科目だけつまずきが大きいといった場合は、オンライン学習だけにこだわらず、他の学習方法(市販のドリル、図書館の活用、地域の学習支援など)と組み合わせてみることも一つの選択肢です。オンライン学習はあくまで「数ある学び方の一つ」であることを示し、「これじゃなきゃダメ」と思わせないことも大切です。
他の保護者の経験談から学ぶヒント
オンライン学習でつまずいた時、同じように悩んだ他の保護者はどのように乗り越えたのでしょうか。いくつか例をご紹介します。
- 「うちの子は動画を『見るだけ』になりがちで。途中で一時停止させて『ここはどういう意味かな?』って一緒に考えたり、大事なところを紙に書き出させたりするうちに、少しずつ理解が進むようになりました。」(小学4年生保護者)
- 「算数で分からなくなった時、サービスの質問チャットが苦手みたいで。代わりに私が質問内容をまとめて送るようにしたら、すぐに先生から丁寧な解説が返ってきて、本人も『分かった!』と。保護者が少しサポートするだけで全然違うんですね。」(小学5年生保護者)
- 「最初は『全部ちゃんとやらないと!』と私も子どもも気負いすぎて、少しでもつまずくと親子でイライラしてしまって。ある時、他の保護者の方が『完璧を目指さなくていい』って言っているのを聞いて、肩の力が抜けました。分からなかったところは飛ばして、後でまとめてサービスに質問したり、分かるところから先に進めたり。そうしたら、子どもも前向きに取り組めるようになったんです。」(中学1年生保護者)
- 「どうしても集中力が続かないのが悩みでした。短い動画で学べるサービスに切り替えたり、一日の目標量を減らしたり。あとは、オンライン学習が終わったら一緒に公園に行く、といったご褒美を用意したら、頑張れる時間が増えました。」(小学3年生保護者)
これらの経験談からわかるように、つまずきへの対応に「これが唯一の正解」という方法はありません。子ども一人ひとりの性格や、つまずきの原因によって、効果的な方法は異なります。他のご家庭の工夫を参考にしつつ、お子様に合った方法を根気強く探していく姿勢が大切です。
無理なく、子どもと一緒に乗り越えていくために
オンライン学習でのつまずきは、子どもにとって新しいことを学ぶ上で起こりうる自然なことです。そして、それは保護者にとっても、子どもの学びをより深く理解し、関わり方を考える貴重な機会となります。
全てを保護者の方が一人で抱え込む必要はありません。困った時は、利用しているサービスのサポート窓口に相談したり、インターネットで情報を探したりするのも良いでしょう。そして、同じようにオンライン学習に取り組む他の保護者の方の経験を聞いてみることも、大きなヒントになるはずです。
この「オンライン学習の悩み相談広場」でも、様々な保護者の方が経験や悩みを共有しています。ぜひ、他の保護者の方の投稿をご覧になったり、ご自身の経験を共有したりしてみてください。きっと、お子様に合った乗り越え方のヒントが見つかることと思います。